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2013/07/11(木)

高校部

関西大学に行きたいんです!!

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今年の卒塾生にSという女子がいる。
クラブ活動をするわけでもなく、た
だなんとなく高校3年生になった、と
いったかんじの子だった。入学以来成
績は低迷し続け、昨年の今頃、自分の
意思で私大受験に方針転換した。
彼女は関西大学を志望校にする、と言
ってきた。私は反対した。法学部を発
祥とするこの大学は、英語も現代文も
論理的思考能力をためす問題を数多く
出題する。論理に乏しい彼女には無理、
比較的暗記で対応できる立命館大学の
ほうが、まだ逆転の可能性がある、と
いうのが私の考えだった。
しかし、何を言っても彼女は関西大学
を譲らなかった。「じゃあ、勝手にし
ろ!その代わり、どうなっても知らん
からな!」私はついに捨て台詞をはい
てしまった。
何が彼女に関西大学をプッシュさせた
のかは、いまだに謎だ。とにかく、そ
れからは狂ったように勉強をはじめた。
毎週赤本を自分でコピーし、それに解
答を記入して個別指導を申し込んでき
た。専用のビニールケースに入れて提
出してくるほど、気合が入っていた。
だが、夏が過ぎ秋が深まる頃になって
も、成績は伸びない。過去問の正答率
も50パーセントを下回ることが多かっ
た。「なんでその答えになるん?」論
理を養成するための問答でも、トンチ
ンカンな答えが目立った。
ダメだしをするたびに、Sはくやしそ
うに泣いた。「泣いても知らんぞ。あ
れほど関大はやめろといったんだから
な!」私が突き放すたびにSは「関西
大学に行きたいんです!!」と心の底
から叫んだ。そして「お願いします!」
と次のビニールケースを提出してきた。
まさに執念の鬼だった。
結局、偏差値も過去問正答率も低迷し
たまま本番前、最後の個別指導を迎え
た。その日は不思議なことに、正答率
が初めて7割を超えた。私との問答で
も、論理的な解答プロセスを随所に披
露してくれた。いつも泣いていたSだ
ったが、その日はとても穏やかな顔を
していた。「やることはやりきった・
・・」
そして、Sは関西大学にうかった。
今年のゴールデンウィークに、Sは塾
に顔をだしてくれた。背筋を伸ばし、
私の目を見て結論からはきはき話すそ
の姿に、私は驚いた。高校時代のどん
よりとした雰囲気は消え失せ、瞳が光
り輝いていた。目標に向かってまい進
する目だ。聞けば体育会のチアに所属
しているという。
「練習、キツイだろう?」私が尋ねると
「はい、でも大学受験のきつさを思えば、
大丈夫です」と先輩のしごきでガラガラ
になった声で、答えてくれた。常に笑顔
を絶やさないSを眺めながら「(合格から)
たった2カ月で、これだけ人間は成長でき
るのか!」と驚かずにはいられなかった。
大学受験は、一つの転機になりうる。こ
こでベストを尽くすことができれば、新
しい世界でもまたベストを尽くせるかも
しれない。そして自分を大きく成長させ
ることができるかもしれない。だが、こ
こで毎日を中途半端に過ごせば、それは
癖になりスパイラル的に落ちるところま
で落ちてしまうかもしれない。気がつか
ないとは思うが、高校3年生は人生の中
でもかなり重要なポイントを日々過ごし
ているのだ。
一分一秒、一挙一投足、単語一個にまで
あなたのベストを注ぎ込んでもらいたい。
そして大きく成長していってもらいたい。
 

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